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名古屋フランス音楽研究会 第6回公演 |
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モーリス・ラヴェル Maurice Joseph RAVEL 1875.3.7 シブール生 〜 1937.12.28 モンフォール=ラモリー没 父はスイス国籍の発動機技師、フランスのバスク地方出身の母に溺愛されて育ったラヴェルは14歳でパリ音楽院に入学。その出発点での2つの出会い、同級生の天才ピアニスト・リカルド・ヴィニエスそして1889年開催されたパリ万博は彼の生涯を通じ作品に影響を及ぼす。前者は高度な技術の可能性、後者は異国への強い憧れと夢である。16年間近く異例なほど長期間パリ音楽院に留まったが、1901年には印象派的新書法である「水の戯れ」をドビュッシーに先駆けて発表、続き「弦楽四重奏」(1903年)等数々の優秀作品により在籍中すでに作曲家としての地位を築いていた。しかしそれにも拘らず念願のローマ大賞を30歳の年齢制限を最後に4度も落選し、ラヴェル事件として音楽界に物議をかもす事となる。その後は師であるフォーレを始めフランス国民の好意的支持のもと、ロシアバレー団からの依頼作品も含め次々にめざましい作曲活動を展開した。アメリカでの演奏旅行でも大成功を収めた。作風について「スイス時計のように精密な錬金術師」とストラヴィンスキーが表現したとおり、明確な旋律線と複雑微妙なハーモニー、そして重複リズム等の使用においても美しい均衡を保ち見事な構築である。オーケストラ作品では響きが素晴らしく「管弦楽法の魔術師」と呼ばれた。人となりは几帳面で自己を内に秘め、身長は大変小柄であったが常に服装は完璧であった。第一次大戦では自ら志願兵を強く望んだ事や、晩年フランス政府からのレジオン・ドヌール勲章を拒否した事柄は性格の率直さと潔癖さを物語っている。家族愛や友情心は強かったが生涯独身で過ごし、最後は不幸にも自動車事故による脳疾患から廃人同様となり人生を閉じた |
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その他の主な作品(今夜の演奏プログラム以外) ◆ソナチネ(Pf.1905年)◆序奏とアレグロ(Hp.
Fl. Cl.弦楽四重奏・同年) ◆5つのギリシャ民謡(Vo.Pf.1906)◆スペイン狂詩曲(Orch.1908) ◆歌劇「スペインの時」(1909)◆マ・メール・ロア(連弾1910) ◆高貴で感傷的なワルツ(Pf.1911) ◆バレー曲「ダフネスとクロエ」(1912) ◆ステファン・マラルメの3つの詩(Vo.Pf. 室内アンサンブル1913) |
◆2つのヘブライの歌(Vo.Pf1914年)◆ピアノ三重奏曲(1914) ◆クープランの墓(Pf.1917)◆ラ・ヴァルス(Orch.1920) ◆ヴァイオリンとチェロの為のソナタ(1922)◆歌劇「子供と魔法」(1925)◆ヴァイオリンとピアノの為のソナタ(1927) ◆左手のためのピアノ協奏曲(1928)◆ピアノ協奏曲ト長調(1930) ◆ドゥルネシア姫に心を寄せるドン・キホーテ(Vo.Orch) ◆編曲はムソルグスキーの「展覧会の絵」他 |
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今夜のコンサートについて |
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ラヴェルはフランス近代音楽におけるフランク、そしてフォーレ;ドビュッシーに次ぐ第三世代の代表的存在です。しかし何よりも驚かされるのは、その精緻な作曲技巧の諸作品が併せ持つ魔力であり、耳を通して絵の如く出現する未知の風景やお伽の国の不思議さでしょう。今夜はそのラヴェルの世界にスポットを当て、声楽及び器楽の主な作品の演奏を通して偉大な作曲家像を浮き彫りにしたいと思います。 今回とりわけ幻想的なピアノ作品「夜のガスパール」は、詩の朗読と共に現在パリで活躍中の水村さおりさんの演奏、そしてフィナーレは渡辺康氏編曲の室内楽版「ボレロ」です。 初夏の一夜、作曲家ラヴェルを考察し又人間ラヴェルに思いを寄せながらゆっくりご鑑賞下さい。 |
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Programme
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Prologue
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プレトーク |
「ラヴェルの音楽について」 |
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解説・渡辺 康 |
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Alto(ヴィオラ) |
亡き王女の為のパヴァーヌ(1899) Pavane
pour une infante défunte |
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Pf. CAZABON田島三保子 Va.中村暢宏 |
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Soprano
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「博物誌」より(1906) |
Pf.菅原美枝子 Sop.酒井伸代 |
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Histoires
naturelles |
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1.孔雀 2.白鳥 3.ほろほろ鳥 |
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1.Le
paon 2.Le cygne 3.La pintade |
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Saxophone |
ハバネラ形式の小曲(1908) Pièce
en forme de Habanera |
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Pf.竹中勇記彦 Sax.井上千春 |
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Mezzo-Soprano Piano Flûte
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「シェエラザード」より (1903) Shéhérazade 1.アジア 2.惑わしの笛 1.Asie 2.La flûte enchantée |
Fl.筧 孝也 Pf.渡辺理恵子 Ms.岡田理恵子 |
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Piano
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「鏡」より (1905) Miroirs |
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1.蛾 2.道化師の朝の歌 1.Noctuelles 2.Alborada del graciozo |
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Pf.渡辺理恵子 |
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Violon
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ツィガーヌ (1924) Tzigane |
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Vl.松浦有希子 Pf.菅原美枝子 |
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Soprano Violonclle Flûte Piano |
「マダガスカル島民の歌」 Chansons Madécasses (1926) 1.ナアンドーヴ 2.アウア 3.楽しいことだ! 1.Nahandove 2.Aoua,Aoua 3.Il est doux |
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Fl.筧孝也 |
Pf.竹中勇記彦 Sop.小木谷好美 Vc.中野知子 |
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Piano
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「夜のガスパール」(1908) |
Pf.水村さおり |
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―アロアジウス・ベルトランによる ピアノの為の3つの詩― |
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Gaspard de la nuit:3 Poèmes pour piano d’après Aloysius
Bertrand |
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1.水の精 2.絞首台 3.スカルボ |
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1.Ondine 2.Le Gibet 3.Scarbo |
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「夜のガスパール」はフランス19世紀の詩人ベルトランによる奇怪な幻想に満ちた散文詩に基づき作曲された。各曲頭に掲げられた詩を朗読する。 朗読:酒井伸代 |
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室内楽アンサンブル |
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ボレロ(1928) Boréro |
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渡辺 康 編曲 |
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Sop.小木谷 Ms.岡田 Sop.酒井 Fl.筧 Sax.井上 Pf.田島 Vl.松浦 Va.中村 Vc.中野 |
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